家具ウィンドウショッピングを続けると、だんだんと美術館で絵を鑑賞している気分になってくる。
回数を重ねれば嫌でもシロートなりに目が肥えてきて、商品ごとの差や工夫が徐々に見えてきて楽しい。好きなものができるとより楽しい。
個人的には椅子や照明がツボ。本当にかっこいい。
(マスターウォールより)
(レ・クリントより)
高すぎて買えないが。
ダイニングの椅子を良い椅子にしたいが、家庭内予算稟議を通過する気配がない。
話はそれたが、家具ウィンドウショッピングと美術館での鑑賞との違いを書きたい。
違いは2つある。
ひとつは「値段がついている」という要素だ。
自分の見つけた差が値段にどう影響しているかを見る面白さがある。ブランド品は何がこんなに違うのか、なぜこれは値引きをしているのかといった楽しみ方はもちろん、「ダイニングテーブルは平均だいたい●円くらいだから、△円のこれはお買い得!」という購入検討の基準にもなる。値段は便利だ。
もう一つは、何と言っても「入場無料」な点だ。これがありがたいったらない。
こっちはもはや美術館の気分になることができている。しかし、入場料はかからない。裏技の気分だ。
加えて、これは特にブランドショップで顕著なのだが、スタッフさんの対応がビビるくらい丁寧だ。横でたくさん説明してくれ、質問もすべて丁寧に答えてくれ、パンフレットや壁紙屋さんなどはサンプルまでくれる。しかもすべて無料。このホスピタリティはバグだ。
当然、買ってくれば1つがでかいからこそのサービスである。これは家造り全般に見られる傾向で、ハウスメーカーの工場見学が無料だったのも同じ理屈だろう。
心構えの話もしておきたい。
ちゃんと「ひょっとしたら買うかも」と本気で思ってスタッフさんのお話を聞こう。「絶対買わないけどな(笑)」のメンタルをあの好待遇のなかキープできるなら、あなたはサイコパスだ。
「ひょっとしたら」というところがミソだ。ブランド品は特に高いので、多分スタッフさんも「絶対買えよ」という期待感ではなく、「多分買わないけどひょっとしたらこいつ買うかも」くらいのテンションでいる気がする。
(というか客のオーラによるかも。少なくとも私は基本、平日の昼間くらいにTシャツでふらふらと訪れていたので、「絶対買わないなこいつ」と見られていたと思う。ごもっとも、という感じだ。)
高いから、おっしゃるとおり買う確率は極めて低いのだが、実物を見て、話を聞いたら本当に欲しくなる余地は残している。
なんだったら、今買わないとしても、将来懐に余裕が出た時に買うかもしれない、その日を見越した事前の種まきである、というスタンスを取るのが良い塩梅なのだ。
実際この気持ちに嘘はなく、しかも将来のキャッシュは概して無限にありそうな気分になりやすいので、精神的にもおすすめだ。
そんな様々な精神的ヨロイを装備した上で、堂々と銀座やら表参道やらのブランドショップを練り歩くと楽しい。