機内が暇で暇でしょうがない。
時差の存在を忘れていて、想定よりも1時間機内にいる時間が伸びた。あと10分で着くはずだったのに、70分になったのは辛い。
こうやってものを書くのが一つの暇つぶしだ。書くのが義務になると疲れちゃうのでほどほどにする。この文章もとりあえず書いているがあげるかどうかは分からない。
もう一つの暇つぶしは読書だ。
「なんの本を読むか、そもそも本を読むか」は旅行を計画するにあたって一つの論点だった。
せっかくの長期のバックパック的な旅行なのだから、深夜特急よろしく難しい漢詩の本でも持って行こうかとか、いや逆に本を読むようなインプットではなくひたすら何かを考える時間にした方がいいのでは、と色々いったりきたり考えた。
結局iPadを持ってきたのであとからどうにでもなる話にはなったのだが、1冊これと決めた作品が偶然できた。
司馬遼太郎の『竜馬がゆく』である。
以前から目をつけていたとかそういった類では全くなく、旅行前日に決めた。縁を感じたのだ。退職の日、送別の言葉を会社の上司から頂いた。
その中のひとつ、歴史好きな上司から「坂本龍馬のような気概を感じていました」という言葉をもらった。歴史には詳しく無いが、とても誇らしくまた記憶に残るお言葉だった。
江戸と明治の境目に生き世界を見つめた竜馬と、転職の合間に海外旅行に行く自分。太平洋と実家の風呂くらいのスケールの違いはあるものの、ちょっとした符号を感じて旅のお供本とした。
思えばこの旅も、会社の上司(竜馬とは別だが)に深夜特急を勧められたことが行くきっかけとなった。縁に乗るのが上手いなと思った。