悪い人に狙われたくない。
この旅一番の目標は自分の再発見などといった抽象的なことでは断じてない。傷一つ付かず、安全無事に日本に帰国することだ。ここは何があっても揺るがない。
悪い人の立場になった時、どういう人を狙うか。どういう人を狙わないか。そう考えた時、いくつか意識していることがある。効いているのかは検証不能だが紹介したい。
具体的には以下を意識している。
・脇の下を少し開けて大手を振って歩く
→占有体積を増やすのだ。たくさんの空間を使った方が大きく見えるという、フィギュアスケートで学んだ教えである。
・胸を張る
→自信は胸から。ちなみに基本みんな上半身を見て人間の強さを判断すると考え、旅行前は1ヶ月程度ひたすら腕立てに勤しんだ。
・早歩き
→スピードは太古より正義である。自信も表現できるうえ、シンプルに敵が追いつきにくいという効果がある。
・大股、ガニ股で歩く
→占有体積の話である。
・手のひらをグーパーしながら歩く
→歩きながら握力をトレーニングしている奴がいたら近づくだろうか。私だったらこんな人間は避ける。意味がわからないからである。
・目をがんぎまりにさせる
→目は口ほどにものをいう。ヤバい人はなんとなく目を見れば分かる。それを逆手にとる。こちらがヤバい人になればいいのである。
・日本語をぶつくさ唱える
→独り言は怖い。意味のわからない言語なら尚更である。危なそうな道を行く時、自らへの鼓舞の意味も込めて、宮沢賢治『アメニモマケズ』を詠唱している。
・カップル系、夫婦系、家族系の近くにいる
→安全な気がする。
・荷物を置く時は足元で足に挟みながら
→隣の席などには置かないようにする。置く場合は3方を壁等に囲まれ、残りを自分の体で防げるような位置関係に置く。兵法が強い人は荷物防御がうまいと思う。
・どうやったら盗めるかを考える
→相手の気持ちになることは恋愛でも大事だ。相手の視点に立って見えることもある。あの荷物は取れそうだとか、ああいう振る舞いをするとターゲットとして候補に上がるな、と考えることは暇つぶしにもなる。もともと暇が多い旅である。
あたりを意識してきた。効果のほどは不明だが、旅行7日目、中国においては今のところ無事である。
次のインドの方が難易度は高いような気がする。中国、インドをクリアしたらあとはイジーだろ、とタカをくくっていたら、トニーに「そんなことはない。ヨーロッパが一番ヤバい。」と言われた。怖くて堪らない。行く先々で安全対策を人に聞きまくって無事に帰国したい。