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【7/21④】バラナシ迷子、あっくんに救われる

旅行
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デリー→バラナシの飛行機移動が無事完了し、ついにインド最終目的地のバラナシについた。ここでは聖なる川ガンジス川を見ることが一番の目的だ。

しかし到着直後、スマホの電波が入らないという問題が発生。空港から宿までUberを使う予定だったが、どうしようもなくなってしまった。

救いの手がなければどうしていたのか今でもよく分からないが、ここで救いの手が降りたのである。

「日本人ですか?」

見るとそこに日本人がいた。実はデリー空港の時から、この人日本人かな…?と密かに思っていたが、向こうから声をかけてきてくれた。

ここでは通称、「あっくん」とする。話すとあっくんは東南アジアをバックパックしていて、バラナシがその旅の最終目的地だという。似たような境遇の旅人に会ってとても嬉しかった。しかも聞くとなんと宿がご近所だった。

「一緒に宿まで連れてってくれませんか…?」

宿に辿り着くことが今日最大の仕事であり死活問題なので、食い気味で聞くと「もちろんです!」と快諾してくれた。本当に助かった。相変わらず運が良い。

Uberタクシーの中で色々と話をした。ニューデリーヘイトトーク、インドで話しかけられた時の対処法、これまでの旅の話など、共通点が驚くほど多くとても盛り上がった。

そしてなんとあっくんは俳優としているという。どうりで声が良いと思った。ミーハーなので「若い俳優とバラナシで知り合う」というシチュエーションにテンションが上がった。

旅に出た理由の話になる。共演した先輩俳優(超有名)に、「俺は何をすればいいか?」と聞いたところ「旅に出たらいいんじゃないか、若いし」と言われ旅の決断をしたといった。なんてダンディなやりとりなのか。俳優業界の洒落たやり取りに憧れる。

タクシー下車後、依然としてスマホに電波が入らなかった私のために、あっくんはわざわざ私のホテルまで付き添ってくれた。ちなみにあっくんは二つ下である。情けない年上極まりない。

 

夜になる。体力回復最優先戦略をとっているため、20時からすでにシャワー等全て終えて、ベッドでごろごろしていると、あっくんからLINE通話が来た。

「僕の宿の屋上で見える月とガンジス川が最高なんで来ませんか?」

正直言うと小心者なのでバラナシの夜道が怖かった。が、こんな粋なお誘いを断る男ではない。意を決してあっくんの宿に向かった。途中の近道のど真ん中に犬が寝ていて、わざわざ迂回して宿に着いた(噛まれると狂犬病のリスクがあるので、まじで犬には注意している)。

宿の近くであっくんが待っていてくれた。合流後、ゼルダの伝説に出てきそうなぐるぐる階段を5階分ほど登って、屋上に着いた。

 

 

 

偶然だが、その日は満月だった。しかもシヴァ神の月という特別な満月の日だという。ガンジス川の水面が明るく照らされている。

夜のガンジス川は昼に見る時よりもゆっくり流れているように感じた。バラナシという街全体が、そもそもとてもゆっくり時間が流れているように感じていたが、夜はそれがより一層強まる。

 

そこから屋上であっくんと談笑した。屋上はベンチ一つ。食べ物はおろか酒もない中で、こんなに人と楽しく話せることはなかなかない。時間感覚はガンジス川に呑まれてしまったのか無くなっていた。どれだけ話したか、よく分からない。

バラナシに来る人はやはりどこか尖っていて、お互いの話をお互い楽しく聞き合った。あっくんの俳優の夢の話がとても熱く聞いててこちらも感化されるほどだった。

インドは不思議だ、と事前にいろいろな本で読んでいたが、今実際インドにいて本当にそう思う。特に人との出会いが不思議だ。詐欺師に遭遇した後に、あっくんに会う。人とぶつかれることに、インド旅のいちばんの価値があるのではないかと思う夜だった。



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