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【8/6②】第九を聞きながら見るマスターピース

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ウィーンは芸術の街だ。

街や建物が洗練されている。美術館も博物館も大量にある。あちこちにあるホールで毎日のようにコンサートが開演されている。

今日は美術館に2つほど行ったのだが、ひとつとても印象に残った展示があった。

セオッシオンという美術館の、グスタフ・クリムト作『ベートーヴェン・フリーズ』という作品の展示だ。

クリムトが好きで、今日一つ目に行ったレオポルド美術館も彼の作品目当てで見に行った。

金キラきんなのが好きだったのだが、今回ちゃんと作品を見て、死とか、女性とか、人生とか、そういう大事なものをテーマにしているところがより好きになった。

ウィーンにはクリムトの作品が展示された美術館が5個以上あり、もう一つ今日中に行こうと思っていたのが最初に書いたセオッシオンという美術館だ。

しかしこの美術館には、クリムトの作品は一つしかない。

それがこの『ベートーヴェン・フリーズ』という作品だ。壁画作品で、この作品のみが飾られた地下の部屋がある。

「ベートーヴェン」の名前にあるように、ベートーヴェンの功績を讃えるための作品らしい。

この作品自体も見所なのだが、ウィーンは見せ方に一工夫があった。テイクフリーでヘッドホンが置かれており、聞くとベートーヴェンの第九が流れているのだ。ベートーヴェンを聴きながら、ベートーヴェンに捧げられた大作を見られるという演出なのだ。

第九をちゃんと聞いたことはなかった。それを今回、好きな作品の前でじっくり聞くというのは至高だった。

聴いていて思ったのは、第九ほど歓喜や希望といったことを表現しきれた“もの”は他にないのではないかということだ。希望そのもののように感じる。この曲があれば自分が強くあれる、そんな気持ちにさえなった。

町田樹選手が第九を滑っていたことを思い出した。改めてちゃんと見なければと思った。今ならより味わえるだろう。

クリムトの絵自体にも当然”希望”が表現されている。

部屋に入って真正面に見えるのは化け物やゴルゴンの娘たちといった絶望の象徴なのだが、壁画のラストである右側に目を向けると、カップルが抱き合っている絵が描かれている。この絵自体も、やはり“希望”そのものだ。

気が大きくなってもう1クリムト行こうと一瞬考えたが、日に3クリムトは体が耐えられない気がしたので明日に持ち越す。



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