ヘルシンキ最終日。残りの半日で何をするのが最も良いか。考えた答えが屋外サウナだった。初日のスオメンリンナ要塞に行く船から、オーシャンビューの屋外サウナが見えたのだ。
天気は快晴。本当にヘルシンキは気候が最高だ。かつての日本の初秋のようなカラッとした涼しさが肌に心地よい。
ヘルシンキのサウナ。この言葉の響きよ。もはや「ヘルシンキ」と言いたいだけすらある。
それほど本気レベルのサウナーではないが、サウナは好きで近所の温泉施設のサウナはよく使う。
ヘルシンキのサウナはそれまでのサウナ経験を超えた。「サウナ最高!!!」となった。今後はいっぱしのサウナーを名乗り、「1番良かったサウナ?まあヘルシンキかな?」と、遠い北欧の方角を見ながら言いたい。
最高ポイントは3つある。
一つ目。何と言ってもオーシャンビュー。こんな感じでサウナにでかい窓がついていて、この先はバルト海だ。外気浴用の椅子は砂を敷かれたビーチのようなエリアに、海を向く方向に大量に置かれている。
二つ目。水風呂としてバルト海に飛び込める。厳密に言うと「バルト海の海水を引いた、プールに入れる」となるのだが、思い出というのは多分に“解釈”を入れられる。私はこの経験を“ヘルシンキのサウナ”に入って、“バルト海にダイブした”と記憶することにする。
手摺りが藻だらけだった。時間がギリギリだったのと自然乾燥できてしまったので、ほぼシャワーを浴びずにそのまま飛行機に乗ってしまった。藻なのか分からないがちょっとべたつく気もする。が、もはやこの藻すら愛おしい。藻の姿で次の国に突入してやる。
も一つ余談、藻だけに。このバルト海水風呂、超寒いのだが、現地民は一気にドボンと入っていく。1mとなりにサウナがあるのだが、そこからぞろぞろと人間が出てきて躊躇いもなく水風呂に頭までドボンする姿は、どこか水族館の海洋生物を思わせた。
偶然お腹がふくよかな方が多かったことや、水に使った後「ぶるるるるっ」と口付近の水を飛ばしていたのも海洋生物みを増していた。昔はジュゴンが人魚に間違われた、という伝説を思い出しながらほほえましく眺めていた。
良いところ3つ目。ビール。サウナ後すぐそこでビールが飲めるのだ。当然オーシャンビューのテラス。(ちなみにこれで入場料は3000円くらいなので貧乏旅との相性も良い。日本から5000円取られる広さ、設備だ)
ヘルシンキの、オーシャンビューのサウナで、バルト海に飛び込んだ後、同じくオージャンビューのテラスで、昼からビール。脳に刻まれない訳がない。
ほろ酔い頭でヘルシンキを振り返る。人といい、気候といい、建物の空間といい、サウナといい。全てがパーフェクトに心地よかった。
アナザースカイに取材されることがあれば間違いなくヘルシンキを選ぶ。
ちなみにアナザーグラウンド、アナザーヘルといった番組がもしあれば、ニューデリーを選ぶことは揺るがない。