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前回までのあらすじ。
<1stシーズン 「素人俺、プロにボコボコにされる」編>
「妻ともっとコミュニケーションをとってから進めるべきでした。。」
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「あんた本当に会計士?目節穴なんじゃないの?」(※意訳)
へその緒でつながっていた母からこう言われたらアラサーの息子はどうなるかご存知だろうか?風呂で縮こまった体育座りをして、一人で泣くことになる。
妻とのコミュニケーションも心もとない状態、親にも特に話を共有していない状態で契約の話は進んでいった。
不動産営業担当者が「月末なので今月末に契約まで進まないとウニャウニャ…」と言っていたため、「そうだよな。先延ばししても申し訳ないしな」とアホの勇み足になっていた。
こんなベタな営業トークに影響されるなんて、今思うとナイーブすぎる。インドで培ったと自負していた商才は砂でできていたらしい。秒で吹き飛んでいた。しかもそれに気づいていないというのが愚か極まりない。
契約予定日が決まった。その日は建築会社から建築プラン概要を聞き、それが問題なければ土地購入の契約、という流れだ。ちなみにいつのまにかローンの借り先もほぼ確定していた(ここも進め方がダメダメだ。最終的な契約ではローン周りを自分でちゃんと調べ、概ね理解したうえで借り先を選んだが、当時はなされるがまま流れていった)。
契約予定日の前日、実家に泊まった。
高校の同期と飲もーぜ、という話になっていて、ついでに不動産屋さんも実家の方に近かったからだ。同期と毎飲み会で話す定番ネタでひとしきり飲み笑いしてほろ酔いで実家に帰宅。たしか23時ごろだと思う。
明日の契約の話になった。
「契約書見せて」
母は地元で税理士事務所をやっており、不動産周りが強かったのだ。
親切心で言ってくれたのだと思う。
「え、まだもらってないよ」
「は?」
パーティがはじまる。血の。俺の。
「え、契約書を当日に見てその場で契約しようとしてんの?」
「アホなの?」
「その瞬間だけで問題ないかあんた分かるの?」
「今ある別の資料だけでも見せて」
「ねえこの〇〇の意味分かる?」
「ちゃんと読んでなかった?あんた本当に会計士?」
「契約だよ?」
「ふざけてんの?」
「舐めてるの?」
アラサーになってから母にこんなに怒られるとは夢にも思わなかった。
さっきまで居酒屋で高校同期と、
「友達と並んで立ちションしたら、風下いたからあいつのしょんべんかかっちまったぜ〜」
という何十回もこすり倒したネタでげらげら爆笑していたのが遠い過去に感じられるような地獄だった。
「今すぐ不動産屋から契約書を送ってもらって。とりあえず明日は契約にサインするな。寝ろ。」
けちょんけちょんにされた。
風呂で泣き、布団でも泣いた。