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前回までのあらすじ。
<1stシーズン 「素人俺、プロにボコボコにされる」編>
お母さんにすげえ怒られた。
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契約予定日。
不動産屋さんと売り主は本日当然契約する気でいる。
一昨日までこっちがそういうテンションでコミュニケーションを取っていたからだ。
しかし、こちとら昨日母にボコボコにされたため、契約はまだしないと決めている。
非常に気が重いまま不動産屋へ向かう。
まずは建築会社のプレゼンを聞く時間があった。
(ちょっとした用語の説明だが、契約対象となっていた土地が「建築条件付き土地」というものだった。これは単に土地を買うだけでなく、家を建てる建築会社も決まっている、セット販売みたいなものである。ただしまだ建ってないので、戸建て住宅と違って一定程度内装等を自由に決められる。)
契約しないとはいえ、今後の契約可能性は残っている段階だったので建築会社の話はちゃんと聞いた。なんだったらこの時点では、まだこの土地、この建築会社で進める可能性がかなり高かった。
一方で妻は違った。
「なんかここ信用ならないから嫌」という感じだった。
やはり自分で見つけてしまったものは愛着が湧いてしまい、その選択肢を手放す判断は容易じゃない。
「信用ならない根拠もそんなにないのでは? セット割でお買い得だし、全然有りじゃん?」
と思っていた。ここにもコミュニケーション不足が存在する。
いったんプレゼンは終了した。
そして土地契約の話に進む。
いつもの担当者に加えて、手練れ感漂うグレーヘアー上司も同席していた。
出し惜しんでもしょうがないので、意を決して冒頭に「今日は契約しない」旨をはっきり伝えた。
二人の顔に明らかに緊張が走る。
あーまじでやばいことなんだなこれ、と思った。
その後のやりとりから推察するに、私がそれまで過剰に好反応を示していて「この日に契約します」とまで宣言していたので、売り主にもそんな感じで伝えていたのだろう。みんな、まじすまん。
担当者は売主に電話すると言って席を外した。
今まであまり話したことない上司と二人きりで気まずい。テキトーな雑談でも振ってくれるのかなと淡い期待をしたが、一切してこない。顔は渋いままだ。どうやらそんな状況じゃないらしい。ほんとにすまん(2回目)。
明らかに良くない顔色で担当者が戻ってきた。いったん売主に伝えてくれたらしい。
売り主としてはやはり契約成立するものと思っていたつもりだったらしく、3日だけ検討の猶予をくれた。
各方面に大変ご迷惑をかけたが、とりあえず今日の自分の大仕事は終えた。
契約しないのであれば、今日やることはもうなにもない。解散となった。
方方に迷惑をかけまくった口でほざくのもあれだが、一つ学んだ。
「口約束ならまだどうにでもなる。サインしたら不可逆」
口頭の約束を反故にするのは信頼を失うものの、ときに自分の身を守る。
いざというときに思い出したい教訓となった。