ヘルシンキを1日歩き回った。人生初の北欧だ。
ヘルシンキを歩いて最も感じたのは、「人の余裕」だ。極端にインドのニューデリーと比較したい。
印象に残った具体的なヘルシンキでのエピソード一つ目。
スオメンリンナ要塞というエリアを観光していた。海沿いでぼーっとしていると、1人の青い目の老人が通りがかった。
ふと目が合うと「今日来たの?」と話しかけてくれた。「そうだ」と答えると「いいところだろう。私はここに住んでいるんだ」と笑顔を浮かべて、”そのまま去っていった”。
これがニューデリーだとどうか。「そうだ」と答えたが最後、「初めてなら船から島を眺めると良い。俺の船に乗せてやる。1時間1000ルピーだ」となる。無視したとしても、諦めずに20mは追ってくる。その目は灰色に燻んでいるだろう。
ヘルシンキの人は、ヘルシンキの空気のようにサラッとしている。ニューデリーの人が、ニューデリーの空気のようにべたっとしているように。短いながらも印象に残ったやりとりだった。
二つ目。なんでもない道での話である。
道での自分のポジショニングが悪く、後ろからくる自転車の道を妨害しててしまった。それに気づいてこちらから「ソーリー」と言うと、「ノー、ソーリー。サンキューベリーマッチ」と、こちらに聞こえるはっきりした声で言って通り過ぎていった。悪いのはこちらなのに、謝罪を否定して感謝すらしてくれるのだ。
同じシチュエーションがニューデリーで起こった場合どうなるか。
街全体にクラクションが大音量で鳴り響き”続けて”いるので、そもそも口頭でのコミュニケーションが不可能だろう。百歩譲って向こうにこちらの「ソーリー」が聞こえたとしても、無視されるか罵倒されるかだ。
ヘルシンキの人には「余裕」を感じる。それも圧倒的な。北欧の国は幸福度が高いとよく聞くが、幸福さと余裕は間違いなく関係している。
旅で印象に残るのはやはり「人」である。「人」の良いヘルシンキを一気に好きになった。