この旅での活動を「単発的なもの」と「継続的なもの」という分け方をすると、前者は「興味はあったけど心から好きとまではいかないもの」、後者は「本当に好きなもの」なんだと思う。
前者の例としては「初めての人とコミュニケーションを取ろうとしてみる」ことや「旅先で食べたことない料理を食べてみる」などだ。最初のうちはやっていたが、徐々にその熱も落ち着いていった。
後者の例の筆頭はまさにこの「日記を書き続けること」だ。まさかこんなにちゃんと毎日何か書き続けるとは思わなかった。多い少ないの波はあるが、書かなかった日はない。本当に好きなんだろうと思う。
旅を振り返ると、「美術館に行くこと」も当てはまるなと気づいた。情熱が走るほど好きかと言われるとそういう感じの好きではないが、一人旅との相性がとても良いという意味で、結果的に10箇所近くもの美術館に行った。もしかしたら他にやることがないだけかもしれないが。
そんな全体的なことも考えつつ、マドリードでは昨日にソフィア王妃芸術センター、今日プラド美術館に行った。
ソフィア王妃芸術センターの最初の目的はただ一つ、ゲルニカだった。
ゲルニカ。
アウシュビッツに着いた時と同じように、「これがあの」という強い思いが湧いた。昔から知っているが、ずっと会えなかったものに会うという経験は独特だ。
反戦がテーマの有名絵画がスペインに多いなと思ったのは、プラド美術館でゴヤの『マドリード、1808年5月3日』を見た時だ。(プラド美術館は写真NGなのでネットより)
こちらも教科書の常連。「これがあの」感情はここでも湧いた。
プラド美術館にあるゴヤ作品はこれだけではない。いまだに厨二病に片足を突っ込んでいる私が好きな「黒い絵」シリーズの展示もあった。
全体に陰鬱で、意味ありげで、黒い作品群。見るとだいぶ疲れるが、ずっしりとした満足感がある。
…という感想をプラド美術館の2階に上がったベンチで書いている。広すぎるのだ。疲れた。時間も12時半とお腹も空いて力が出ない。
鑑賞する時はエネルギーを使って情報や感情を搾り取ろうとしている。なぜなら金を払っているからだ。情報や感情に変換せねばもったいない。
しかしエネルギーは有限なので、エネルギーの向け先は選ばなければならない。なので部屋をざっと見て、直感的に「これ好き!」というもののみをしっかり見て、それ以外はウィンドウショッピングよろしくチラ見をしてサクサク見ている。こうしないと体力がもたない。
世界3大美術館にも数えられるプラド美術館は広すぎる。広すぎて全ての部屋を見切れたか自信がない。世界樹の迷宮あたりの地図のように、行ったエリアが塗り潰されるようなギミックが欲しい。
あと丸々1階分残っている。顔を上げると大聖堂のような高い天井、50m先まで見渡せそうな横幅の空間が広がっていて挫けそうだ。
まだ動けない。くそみたいなご飯特集の日記でも書いて体力回復を図ろう。