こんにちは。ヤングチャンピオン・カエルです。
この記事を開いたということはおそらくあなたもバッククロスLOVER。
前回の記事(【バッククロス愛】バッククロス?バッククロス!!バッククロス!!!)でバッククロスへの愛を語っていたのですが、読み返したら本当に愛しか書いてなく具体的なやり方とか皆無でした。
なので今回は僕がバッククロスで意識していたポイントを延々書き続けていきます。
バッククロス超基本
クロスは超大まかに分けると2つの動きからなります。
①
初級クロスで言う①の姿勢です。両足を開いていますが、体重の大部分は内側の足にかかっています。
②
出典元:同上
初級クロスで言う②の姿勢です。名前の通り、脚をクロスする段階です。
①→②→①→②→・・・と繰り返していくのがバッククロスです。
まだできないという人は、最初は片足にならないで両足でバッククロスの形をとってできるようになってから徐々に足を上げていくという練習が良いかなと思います。
バッククロスのポイント
では、基本的なバッククロスの動きができるようになった方向けに、各段階で注意したい点をチェックリスト形式で羅列していきます。使えそうなのがあったら普段の練習から実践してみて下さい。
逆バッククロスが好きなので逆バッククロス想定で解説します。左足が内側で、右足が外側です。
【チェックリスト】
①進行方向を見ているか
②体をひねれているか
③上体が進行方向から逃げた位置にないか
④前傾していないか
⑤片足で安定して滑れるか
⑥体重移動をしっかり行っているか
⑦高さがぴょこぴょこ変わってないか
⑧滑る脚の膝は曲がっているか
⑨押す脚は伸ばし切れているか
⑩力強く押せているか
⑪腕・手を上げすぎていないか
【番外編】
・②⇒①はすり足のように動かす
では深淵なるバッククロスので世界へ。
①進行方向を見ているか
逆バッククロスをする時、基本的に顔は進行方向である左側(具体的には左手の先)を見ましょう。
顔の位置的に首を「ひねる」動きになるので、意識してないと楽な姿勢である前、もしくは右側を見がちです。
しっかりひねりましょう。
上のパトリック・チャン選手、前見てますね。そういうこともあります。見続けるのがダメなだけです(言い訳)。
②体をひねれているか
「進行方向を見る」に近いですが、体も進行方向に対してひねりましょう。逆バッククロスなら左にひねります。
最初に僕が習った時は、
「書いている円の中に大きなプリンがあってそれを抱くイメージ」
とメルヘンな感じで習いました。
体が左に捻れてないと、おそらく左手がプリンに刺さってしまいます。
書いている円を意識して、その円に体の位置も合わせましょう。
③上体が進行方向から逃げた位置にないか
これは非常にやってしまう人が多いです。自分のビデオを確認して見ましょう。逆バッククロスなら上体が右に傾いている状態は良くないです。
一切の無駄を排除した絵で説明すると、こんな感じ。
この形の最大の弊害は、
推進力が弱くスピード出ない
ことにあります。
なぜ推進力が出ないのでしょう。推進力が弱い原因は、
進みたい方向と逆方向に上体がある
というのももちろんなのですが、
体重移動が出来なくなる
というのが非常に大きいです。
逆バッククロスなら①の姿勢で右足にかかった体重を②にするにあたって思いっきり左に移すことで推進力を生みます。
この点上体がずっと進行方向と逆(逆バッククロスなら右側)に倒れている人は、おそらくずっと外側の足に体重のほとんどがかかり続け、体重移動がなされてないことが多いです。
これだとなかなか進む力は生まれません。
というか体重移動できてないから、進行方向に対して体が逃げるとも言えます。どっちが卵かはわかりません。
というわけで改善策としては、
上体はせめて垂直、できれば少し進行方向に倒す
ことを意識しましょう。
④前傾していないか
上で進行方向に少し上体を倒すといいと書きましたが、進行方向(逆バッククロス中の進行方向は左)であり、前方向ではないです。
前傾はスケートと動きにおいて振付以外の場面ではほぼ有害な存在です。気を付けましょう。
⑤体重移動をしっかり行っているか
上でも書きましたが、バッククロスは体重移動をしないとスピードが出ません。バッククロスはというかスケート全般ですね。
ただ体重移動をする「前提」として出来てないといけないことがあります。
それは、
片足で滑ることです。
これを疎かにすると体重移動どころじゃないです。というわけでまずは体重移動の前提となる「片足で滑ること」についてです。
例えばバッククロスをする時、
・外側の足に乗る①の姿勢の時、内側の足を上げられますか。
・内側の足に乗る②の姿勢の時、外側の足を上げれますか。
・クロスしている②の姿勢をそのままのキープして滑り続けられますか?体が外方向に回っていかないですか。
上記のことができていない方は、「片足で滑る」ということが疎かになってるかもしれません。
バッククロスは頻繁に左右の足が入れ替わり、かつ低い位置で交差するので、注意しないと「片足に乗る」という意識が曖昧になりがちです。見た目の体重比が6:4と4:6を行き来している感じになってしまいます。10:0とまではいきませんが、8:2くらいでありたいです。
個人的にバッククロスは
「正しい位置に乗ることで片足だけでも長く滑れる技術」+「その体重を移動させる技術」+「単純に氷を押す筋力」
でスピードが決まると思っています。
なのでまずは片足だけで滑れるようにするという練習もした方がいいです。
具体的には、
・片足ごとに2秒ずつくらい止めてクロス
・クロス中にスケーティングレッグじゃない方を上げてみる
などを僕はやっていました。
特に②の姿勢で片足キープは体回ったり内側足回ったりで難しいので時間をかけて練習しましょう。
①②の姿勢はバッククロスの構成要素です。①②それぞれの姿勢で片足で安定してキープができない限り、①②からなるクロスは安定しないです。
まずは片足で安定して滑れるようになることを目指しましょう。
⑥体重移動させる!
前提の話が長くなりましたが、本題の体重移動です。
特にバッククロスでは外側の足に体重が残りがちです。①の姿勢は外側の足に体重があっていいので、問題は②ですね。
②ではしっかり体重を内側の足の真上まで持っていきましょう。「体を乗り出す」という表現が近い気がします。
クロスは足だけでなく、体も水平に(上下は一定です)動かすことでスピードを生みます。特にこの②→①の瞬間は一番体重移動できるチャンスなのでしっかり移動させましょう。
上で書いた「進行方向の逆方向に体が傾いている」状態では、体重移動がしにくいのが分かると思います。ここはつながってます。
⑦高さを変えない
これも非常に重要なポイントです。
上手い人はバッククロスの間ずっと頭の高さが変わらないです。
一方で始めたばかりの人は高さがぴょこぴょこ変わりがちです。特にクロスを入れる②の段階で上がりやすいです。
高さが変わる=膝が曲がってないということです。クロスを入れた時に高くなる=膝が伸びると、その分氷を押せる時間と距離が短くなってしまいます。
逆に言えば、高さが変わってしまう人は長い時間氷を押し続けられないために、立つことでごまかしてるとも言えるかもしれません。(体が低いと氷を押し切るのにかなり長い距離がある(その分押せる)一方、体が高いと少しの距離でも押し切ってしまう(押せる距離が短い)
というわけで改善策として、
バッククロスは下半身だけ動かし、上体は上下方向には一切動かない
ことを意識しましょう。脚だけは動かしつつ平行に動くカニのイメージです。♋
特にクロスを入れた時(②の瞬間)に体が上がりやすいという点は注意しましょう。
むしろクロスした時に「さらにしゃがんでやるぞ!」くらいの気持ちでいるとより良いと思います。
⑧滑る脚の膝を曲げる
上に関連して。高さを変えないためには、膝を曲げ続けなければなりません。
はじめのうちは曲げているつもりでも、めちゃめちゃ高いはずです。上手い人はみんなクロスの姿勢は低いです。これはしっかり膝を曲げられているからだと思われます。
①の姿勢では内側の足を、②の姿勢では外側の足を「これでもか!」というぐらい曲げましょう。
低い姿勢のバッククロスを目指しましょう。
あと、姿勢低いクロスは単純にかっこいいです。梶田健登選手のバッククロスとか最高です。
出典元:2017全日本 梶田健登FS
見てくださいこの低さ!!
壁よりずっと低い。たまらんカッコよさ。是非動画もyoutubeでご覧ください。
⑨押す脚は伸ばし切る
滑る脚の膝は全力で曲げますが、押す脚はつま先まで伸ばし切ります。
氷を最後まで押し切るためです。
クロスにおいて主要な「押すポイント」は①⇒②の部分と②⇒①の部分の二つです。
【②⇒①】
この部分で押すのはそれほど難しくありません。外側の脚が伸びきるまで全力で氷を押してください。ここを押さないのはただの怠慢です。
【①⇒②】
一方ここで膝を「伸ばし切って」押すというのは最初非常に難しいです。押し切れずに膝が曲がってしまうというのがよくある失敗です。
慣れという要素も大いにありますが、ここでは一つだけ、もう少し実践的な対策を紹介します。
その対策は「両足のカーブを揃える意識を持つ」ということです。少し分かりにくいと思うので解説します。
氷を押し切れない原因の一つに、②の姿勢(クロスを入れた時)で両足が描くカーブが異なっていることが挙げられます。下の画像のような状態です(逆バッククロス想定)。
この状態で滑り続けると、どんどん両足の位置関係が離れていってしまうので、氷を押し続けるのが難しくなる一因となりえます。クロスを入れる足が滑っている足の横らへんまで来てしまうとなりやすい気がします。
理想はこっちです。
両足が描くカーブがそろっているので、押しやすいはずです。
カーブを揃えるためには、押す足が最終的に目指す位置が大事かなと思います。カーブが揃わない時は滑っている足の真横近くまで来ていることが多いと思います。
真横は行きです。
滑っている足をxy座標の原点とした時、(x,y)=(2,-1)くらいの位置にもっていくイメージです。真横より少し後ろ。
練習方法はとして、まずはクロスを何回もかかなくてもいいので、②の姿勢を両足でキープしたまま、両足のカーブを揃えてずっと滑りつづけられるかやってみる、というのをお勧めします。
⑩力強く押す
押すときは力を入れましょう。上の方で書いたバッククロスでスピードを出すための一要素です。
「正しい位置に乗ることで片足だけでも長く滑れる技術」+「その体重を移動させる技術」+「単純に氷を押す筋力」
疲れる要素ですが、押すしかないです。特に②⇒①の外側の脚は頑張りましょう。
パワーは力です。
⑪腕・手を上げすぎない
シンプルに見た目の問題です。演技にもよりますが、基本腕は水平程度の高さをキープします。
たまに腕を挙げようとして肩が上がる人がいるのでそれは注意しましょう。
至言、小塚崇彦さん直伝アドバイス
イベントで小塚崇彦のレッスンを受講することがあり、そこでバッククロスでの貴重なアドバイスをいただいたのでご紹介します。
非常に長い記事で読むのが疲れた人も多いと思いますが、最後ここ、集中です。
②⇒①はすり足のように動かす
クロスを入れた②の姿勢から①に移動するときの脚の動かし方についてです。
僕ははじめ下の画像のように多少山なりの動きで次の足を置いてました。こういう人は多いのではないでしょうか。
こうではなく、次のように地を這うような足の動きをすべきというアドバイスです。
実際にやってみて、
こっちの方が遠くに足を置きやすい
という実感があります。
個人の趣味ですが、僕は足幅のあるバッククロスが好きなのでこのアドバイスはドはまりしました。足幅のあるクロスはこんな感じのです。本田武史選手。
ダイナミックなカッコよさだけでなく、幅を出すことで氷を押せる距離も長くなるので機能的でもあります。(ただダイナミックな分時間がかかるクロスなので、これで早くクロスかくのは相当な技術が必要そう。)
足をすり足のように動かすことでなぜ遠くに置けるようになるのでしょう。
なんとなくですが、
・山なりで動かすと、弾道ミサイルのように発射時点で着地点が決まってしまうのに対し、
・すり足は低い位置で水平に移動するので、「え、まだ着氷しないの?まだ行くの?、え、まだ?!」って感じでギリギリの位置をキープしたままどんどん遠くにおける感じがあります。
結構即効性のある神アドバイスですので、「たしかに山なりで動かしてたわ」って人は是非お試し下さい。
まとめ
いかがだったでしょうか。
「フォアクロスは限界値があるけど、バッククロスは際限なく上手くなる」
先輩に言われてバッククロスへの浪漫を感じた一言で、今も記憶に残っています。
今回いくつかのポイントをご紹介しましたが、当然これで全てではないです。また、自分の成長に合わせて意識すべきポイントもどんどん変わっていくと思います。
バッククロスは上手くなったと思っても、上手くなる余地が無くならない非常に面白味がある要素です。是非ご自身でも色々バッククロスを研究して、理想のバッククロスを目指しましょう。