こんにちは。ヤングチャンピオン・カエルです。
今回は『監査法人勤務1年目の新人会計士シリーズ⑥:棚卸立会』を書いていこうと思います。
会計士受験生にとっては棚卸立会という言葉自体は何度も聞いたことあると思いますが、初めて実際に棚卸立会をするという新人の方にとっては具体的に何をする手続きなのかイメージしにくいところもあると思います。
今回は棚卸立会の流れ、またそれぞれのフェーズで注意したいポイント等を紹介したいと思います。
棚卸立会とは
まず始めに、そもそも棚卸、立会とは何なのか。これについては日本公認会計士協会のHPにわかりやすい説明が載っていたので引用します。
会社の作業のことを棚卸、それを監査人が立ち会うから棚卸立会という名前になります。
厳密には別の言葉です。
上記のように、棚卸立会は在庫数量の妥当性を確かめる実証手続です。
ただ在庫の保管や管理方の方法及び状況等の確認も観察や質問によってできるので、
実証手続であると同時に、内部統制を確認する整備運用評価手続の面もあります。
倉庫内の保管状況等にも目を配れるといいですね。
集合〜棚卸立会説明
まず集合から棚卸立会まで。
集合時間・場所は間違いないようにしましょう。そして何か言われない限りスーツです。社会人は出張だろうと研修合宿だろうとスーツです。
関係ないですが研修合宿はビジネスカジュアルって書いてあったのに皆んなスーツです。そんなんだから会計士は固いって言われると思うんですがね…(思いっきり私服で行った顔)
棚卸立会が始まる前は倉庫の所長による挨拶、棚卸の方法の説明があります。
ここで倉庫の地図、棚卸の方法の解説、周る順番などが書かれた資料を渡されることが多いので、何となくでも頭の中にいれておきましょう。
また、棚卸の方法に問題がないか、整備状況評価の面から確認しておきましょう。ちゃんと2人組で行なっているかなど。先輩方も見てきたので問題ないことが多いと思いますが、懐疑心は忘れずに。
・ペン
・持ち運べる電卓
です。
棚卸中
本題です。
棚卸中することは大きく分けて3つです。場所によってその他にも作業が生じることもあると思いますが、ここでは主要な3つを紹介します。
サンプル→現物の照合
予め抽出していたサンプルについて、数量が実物と整合しているかカウントして確かめます。
帳簿→実物なので資産の実在性を確かめる手続きとなります。
現物→サンプルの照合
上とは逆に、棚卸立会をしている最中にこれ!と決めたものをカウントして、その数量がデータと整合しているか確認します。
実物→帳簿なので資産の網羅性を確認する手続となります。
25件やることが多いと思いますが注意点としては
・自分で選ぶ(会社の人が選んだものを数えては意味ない)
・25件選び切れるように時間を見ながらどんどんカウントする。
・できるだけ色々な保管場所から抽出する(極端に言えば同じ場所から25件選ばない。)
です。
テストカウント、抜打ちチェック等の呼び名がある手続きです。
カウントしたい時は、
「テストカウントします!」
と言って会社担当者にも待ってもらったり手伝ってもらったりしましょう。
棚卸対象資産と対象外資産や評価損対象資産の整理がされているか確認
倉庫内には棚卸対象資産だけでなく、対象外資産もあります。
そういうものが分かりやすく分離されて保管されていることを確認しましょう。この作業は内部統制の確認的な要素が強いですね。
棚卸対象資産と棚卸対象資産の間にしれっと対象外資産が置いてあったりすることもあるので、そういうのを見つけたときは指摘しましょう。
また倉庫内で見てない箇所がありそうだったら担当者に言って連れて行ってもらいましょう。基本的に棚卸立会では倉庫内を網羅的に見たいです。
講評〜フォロー
倉庫内の棚卸が終わったら、それらの集計、結果報告・講評があります。
講評では立会の結果発見した事項を会社へお伝えしましょう。
ここで何も言えないと、
「こいつほんとに見てたのか…?」
となりかねないので、批判的な目で棚卸立会を実施しておきましょう。
まあ指摘ない方がいい会社ということにはなりますが。
テストカウントやサンプルカウントでミスが起こることはそんなに多くないと思いますので、
講評で伝えやすいポイントとしては棚卸方法の遵守状況や上記③のように、
「棚卸ルール上では〜となっていたが、実際の従業員の作業状況では省略されていた。形式的になっているので改めた方がいい」
「棚卸対象資産とそれ以外が明確に区分されていないことがあった。資産保全の観点からも、整理をお勧めします」
などなどを例として挙げておきます。困ったら使いましょう()
その後は棚卸立会の結果を調書化します。
サンプルテストやテストカウントの結果を表にしてまとめたり、倉庫内の整備状況等について調書に残します。
今回見られなかった外部倉庫等については、在庫証明書などの資料を会社に入手してもらって数量の確認をするということもあります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
はじめはわからないことも多いと思いますが、先輩に聞きつつ、本記事も読みつつ、
棚卸立会をしていただければと思います。