こんにちは。ヤングチャンピオン・カエルです。
今回は『監査法人勤務1年目の新人会計士シリーズ⑦:実査』を書いて行こうと思います。
前回の棚卸立会に引き続き、会計士試験を経た新人にとっては聞いたことはあっても具体的な内容のイメージがつきにくいものかと思います。
僕も実査担当になった時具体的に何をすべきか分からず、法人のマニュアルなりグーグルなりで調べたのですが色々書かれてて結局よくわからないという経験をしました。
というわけでこの記事では
「理論とか複雑なのは置いといて、とにかく具体的に何をやればいいんだ?!」
と考える新人の方に参考になるようにしています。
勿論会社の状況によって求められる手続は全く違うのでこれで十分とは決してなりませんが、最低限のやることとして覚えておけば多少気持ちは楽になるかと思います。
実際に実査する時は、
「〜以外にこの会社の実査ではどのようなことをすればいいですか?」と先輩に質問できれば新人としては申し分ないでしょう。
今回はどの会社でも実施機会の多い現金実査について扱います。
実査担当になった際のご参考にして下さい。
実査時の注意
手提げ金庫と大金庫
実査は金庫の中身をチェックする実証手続ですが、金庫には主に2種類あります。
大金庫:持ち運びができない金庫
手提げ金庫:持ち運びができる金庫、大金庫の中に入っていることが多い。
手提げ金庫は移動して使えの上でじっくり見ることができますが、大金庫はその場で見ないといけません。
金庫の種類は理解しておきましょう。
中身を隈なく見なければならないのはどちらでも同じです。
大金庫の中身については勝手に触るのではなく、
「拝見してもよろしいでしょうか」
と一声かけると丁寧です。
会社の人に付き添ってもらう、返還証明書にサインもらう
実査中は会社の人に付き添ってもらう必要があります。
これは仮に実査後に金庫内のものが紛失した時に、監査人が横領したと疑われないためです。
監査に慣れている会社は監査人を信頼して金庫を渡すとそそくさと自分の席に戻ってしまうこともあるので、事情を説明してつきそってもらいましょう。
また実査終了後には、会社に、実査対象物を返還された旨の署名を頂きましょう。
各監査法人に専用のフォームがあるはずです。
実査時に見るべきポイント4選
現金、有価証券、切手、収入印紙、手形等の突合
予め金庫内に保管されているものの明細を入手し、実物と整合しているか突合しましょう。
対象は現金、有価証券、切手、収入印紙、手形などです。
それらが会計上資産計上されているかまで追い、資産の実在性の検証をします。
金庫内の整理状況確認
内部統制の整備状況評価的な意味合いです。
資産保全の点からも金庫内は整理されているのが望ましいです。
あまりにも金庫内が無秩序の場合は、会社に指摘しましょう。
資産に計上すべきものはないか確認
金庫の中には会社所有外の証書や、解約済み口座の通帳など、資産計上されないものも保管されている場合が多いです。
それ自体は問題がないのですが、資産計上すべきなのにされていないものがある場合は会計上問題となります。
気になるものが金庫内にあったら会社に質問にして資産計上の妥当性を検討しましょう。
小切手のミミでカットオフ
小切手のミミとは小切手帳の使った部分の残り、控えのようなものです。
小切手を振り出した日付、金額、内容等が記載されています。
この小切手のミミの期末前最後の日付を押さえておいて、それが実際に会計上処理されているかを当座勘定照合表、総勘定元帳などと突合して確認しましょう。
これは小切手を振り出したのに、期末までに現金預金を減らさず、翌期に繰り延べるという虚偽表示を発見するための手続きとなります。
いわゆるカットオフテストです。
まとめ
いかがだったでしょうか。実査ですることとして、
①現金、有価証券、切手、収入印紙、手形等の突合
②金庫内の整理状況確認
③資産に計上すべきものはないか確認
④小切手のミミでカットオフ
は最低限抑えましょう!