こんにちは。ヤングチャンピオン・カエルです。
今回はコラムです。
僕は中高時代は体操部に所属していました。
当時のトップ選手は言うまでもなく内村航平選手。
そして大学からはフィギュアスケートを始めて、
これまた言うまでもなく当時のトップは羽生結弦選手。
どっちも超大好きな選手です。
体操5年間スケート4年間とどちらも長くやってきたわけではないですが、
2つの競技を経験した僕から見ると、両選手は
「エレガントさ」と「強さ」
という点が共通していて、まさにその点こそが魅力なのだと思います。
まあふたりともイケメンなのも圧倒的魅力ですが。
画像元:
https://www.skatingjapan.or.jp/figure/player/detail.php?id=N0qvoSfQGYA%3D
http://london2012.nikkansports.com/photo/archives/031550.html
今回は僕が大好きな二人について勝手に語る回です。
「エレガントさ」という共通点
まず両選手とも演技中の動きがエレガント。エレガントすぎる。
当サイトはスケートブログなので、
読者層的に羽生選手のエレガントさについて語るのは野暮かと思います。
が、やはり簡単に言わせてもらうと、
つなぎやステップでの体の使い方、表情、演技への気持ちの入れ具合、
全て最高ですよね。
四大陸のバラード第一番とか地球史上で一番フィギュアスケートしてたと思ってます。
羽生選手の全てがエレガントという暗黙の了解があるのは承知しております。
体操との関連からあえてピックアップしたいのは、
ジャンプのエレガントさです。
動画元:4CC 羽生結弦 Yuzuru HANYU SP 2020.2.7 四大陸フィギュアスケート選手権 ISU Four Continents Figure Skating Championships
これですよ!これぞ”ジャンプ”!
お手本のような理にかなった跳び方、回転軸の安定感、着氷後の流れ
という点で一番好きなジャンプは、やはり羽生選手のジャンプです。
そして個人的に一番好きな部分は、
着氷の準備を完璧にして降りてくる点です。
具体的に言えば、
・3Aなどでは少し早めに腕を開いて降りてくる
・ベストな流れを作るためピッタリの回転で降りてくる(=回りすぎがない)
などの点です。
着氷の準備が完璧なジャンプは着氷後の流れもいいし、
見た目的にも余裕さと優雅さが見えて最高なのですが、
まさにこの「着地への準備」という点が
内村航平選手と重なります。
内村選手といえば「着地」。
本当に地面と磁石でくっついているんじゃないかと思うほど美しい着地が有名です。
内村選手本人も、
「観客も含めたまわりの時間を止める
僕の着地で会場全体を制する、というくらいの気持ちでやっています」
と言っています。かっこよすぎやしませんかね。
実際に内村選手の着地を見てみましょう。
エレガント。完璧な着地。
そして今回知っていただきたいのは、
内村選手の着地の瞬間以外での「エレガントさ」へのこだわりです。
ちょっと早すぎてわかりにくいですが、
この内村選手も着地より前の段階で右腕を開いて降りてきています。
ここが最高にかっこいい。
↓ここですね
鉄棒での内村選手の代名詞「屈伸コバチ」も、
内村選手のこだわりがよく分かるので紹介します。
実況に「世界一美しいE難度」と呼ばれている内村選手の屈伸コバチ。
体操の減点ルールというのはかなり厳しくて、
・膝が曲がったら減点
・つま先が伸びてなかったら減点
・つま先が揃ってなかったら減点
・着地止まらなかったら減点
となります。とても厳しい。
これらの点について、内村選手の屈伸コバチは完璧です。
上記減点項目の中だと特につま先などは離れやすいのですが、
内村選手は一瞬たりともつま先が離れていません。
しかも
空中で体を開いて、
腕を伸ばしながら、
次の車輪も「え、離れ技してたよね?してなかったっけ?」と勘違いするほどスムーズ。
本当に完璧なんです。
細かい点ですが、離れ技を「腕を伸ばしながら掴む」というのはそれこそ離れ業です。
バーから離れすぎると掴めず落ちてしまうリスクが高くなるので、
多少腕を曲げても近くで掴む選手は多いです。
そこを内村選手は
「それでは美しくない」
と考えて腕を伸ばして掴む表現方法をとりました。
また内村選手はそれ以外にも、
屈伸コバチの姿勢を太ももを手で引き上げることで高さを出すという表現も意識しています。
正直、この辺の要素は点数に大きく影響する部分ではありません。
なのでここまで意識する選手は少ないと思います。
しかし内村選手が目指しているのは「エレガントな体操」
そこに「点数が取れるか」という要素は関係なく、
「エレガントに見えるかどうか」が内村選手の最も気になる所なのだと思います。
「体操を知らない人にも美しいと思われるような演技がしたい」
というのは内村選手がよく発言する言葉です。
ここで、先程の鉄棒の最後の着地を見てみましょう。
・回転中にひざ・つま先まで完全に伸びている点
・回転中でもつま先が揃い続けている点
・着地前に腕を開き、着地の準備が完璧な点
・吸い付くような着地
に注目しながら、内村選手の「エレガントさへのこだわり」を体感してみてください。
細かい部分での美へのこだわりという点はまさに羽生選手と同じですね。
わかりやすいところで言えば、難しいジャンプを完全に曲に溶け込ませる所。
「ここまでこだわっている」というプロ意識のようなものがたまらないです。
「強さ」という共通点
羽生選手と内村選手を語る上で、やはり「強さ」という要素は外せません。
両選手ともぶっちぎりで強いですよね。
wikiからですが、二人の戦績。
羽生選手 / 内村選手
金ばっかり。
「勝つことが全てではない」という言葉があります。
たしかにこの言葉は100%その通りです。
一方で僕は
「勝った時は”全て”以上になる」
と思っています。
”1位”という勝利が与えるインパクトは大きいです。
羽生選手も内村選手も、オリンピックで2度優勝しています。
しかもソチオリンピックでの羽生選手は怪我明けからの優勝。
リオオリンピックでの内村選手は、最終種目直前まで1位だったオレグ・ベルニャエフ選手を最後の鉄棒で0.099点差で逆転し優勝。(この点差は一歩動いたら負けのレベルです)
・・・本当に人間か?
僕はこういった、
「この場面で本当に勝つのか・・・」
「この選手は・・・何か持っているな・・・・」
といった”人外性”に果てしなく熱狂します。
2度目のオリンピックについていえば、
両選手とも優勝確実という状況ではなかったと思います。
そのような中での優勝というのは、神秘性すら感じます。
何かを”持っている”という話に関連して、
『イチローの流儀』という本の中の王監督の言葉を思い出します。
第二回WBCで不調だったイチローが、延長の逆転のチャンスで出番が回ってきて、見事タイムリーヒットを打ちチームを優勝に導いたことについてのコメントです。
王監督「決して彼らしいバッティングができていたわけじゃなかったけど、でもポイントではきちっと役割を果たしている。
しかも最後の最後、ああいう場面でイチロー君に回ってくるでしょ。そこには、説明のつかない人間力みたいなもんがあるわけですよ。こればっかりは誰にも説明できない。自分がどうこうしようというだけで動くものじゃないし、ご先祖さんから受け継いだものも含めて、一生懸命に努力したから引き寄せることができたのかもしれない。
あるんですよ、そういう人間力というものがね。」
出典元:『イチローの流儀』(新潮文庫)
おそらく羽生選手も内村選手も、
王監督の仰る「人間力」に近いものを持っている気がします。
多くの人が到底持ちえない「何か」を持っていて、勝利し、そこに観客が熱狂する。
イチロー同様、羽生選手、内村選手がスター選手となったのは、
こういった「神秘的ですらある勝利」を収めてきたからだと思います。
このような勝利を目撃できた時、アスリートという存在の尊さを強く感じます。
おまけ:内村選手が羽生選手を語る激アツ動画紹介
トップアスリートが心震えた名勝負を語るという番組で、
内村選手が平昌の羽生選手の演技を語る動画が激アツなので紹介します。
「(ショート見た段階で)ああもうこれは、(金メダル)取るなって思いました」
「金メダルを取るためのオーラを纏ってました」
「これが本物だよなって改めて知れた」
内村選手をしてここまで言わせるという点が最高。たまらん。
まとめ
二人が活躍する時代に生まれたことへ感謝。
「エレガンスさ」という奇妙な言葉は下記記事を呼んで意識して使いました。
外部記事:体操・内村が論じた「エレガンス」と「美しい」の違い トークショーの観客を魅了
この記事で内村選手は「エレガンス」という言葉について、
「『美しい』と『エレガンス』は違う。
(中略)
例えば僕の演技を見て、『景色を見ているようだ』とか、『絵画を見ているようだ』とか、何かを連想させるようなことができるのがエレガンスだと思う
(中略)
何かをしているけど、違う感覚になるのがエレガンス。自己満でもあるし、追求すればするほど深みにはまるパターンもある。自分に自信を持つことが大事」
とコメントしていました。
普通に「美しい」で書き進めてたので「Sorry, Uchimura-san」と、急いで「美しさ」を「エレガントさ」という言葉に書き直しました。