こんにちは。ヤングチャンピオン・カエルです。
先日、岡山大学スケート部OBの方が主催の現役学生スケーター向け合宿に指導側として参加してきました。
本合宿は全国の学生スケーター(学生始めが主)が有志で参加し、ジャンプやスピン、スケーティング、メンタル面等についてのノウハウを指導側のOBGから習うという形式で行われました。
参加したOBGには、
ダブルアクセルを跳んだ方、アイスダンス全日本に出場した方、元国体選手(全て大学生スタート)
などを始めとして数多くのガチスケート狂がおり、その方々の持つ貴重なノウハウを吸収できる超有意義な合宿でした(OBGとしては最年少だったのでもはや現役生目線)。
中でも特に印象に残ったのは、
”理念を持つことの重要性”についての話。
スケートに関わる人全てに役立つ話かと思うので、今回はこの話をしたいと思います。
理念の重要性
語ってくれたのは日本最高峰の奇人の集合(本人談)、京大理学部数学科出身のOBの方。大学スタートで5級まで取得したレジェンドです。
「京大ってやっぱイカレ・・すげぇな・・・」
と改めて思わずにいられない内容で、前半は「なぜジャンプが跳べるのか」というジャンプの仕組みを物理学的に解析されてました。
↓スライド(一部)
僕の普段の超テキトーな解説図とは雲泥の差ですね。
【参考画像(片足ひょうたんの時の状態の図)】
ジャンプを天体の公転(飛ぶ前のカーブの軌跡)と自転(体を締めることによる回転)に例えた話はなるほど~~~と膝を打ちました。
ジャンプが跳べる仕組みを、
「滑る」という運動を利用して「跳ぶ」「回る」という別の運動に変換できるからとし、分解した「跳ぶ」「回る」という各運動を詳しく解析する話は非常に興味深かったです。
もっとこの技術的な部分の話もしたいのですが、今回は”理念”の方に焦点を当てたいので泣く泣く技術的な話はここまでとします泣
今回のテーマの”理念の重要性”についてはこの話の後にされました。その時のスライドが以下です。今回語りたいことは全てこのスライドに詰まっています。
この「スケーター像のピラミッド」図は非常に沢山の示唆に富んでいると思います。
・理念があってこそ、目指したいスケーティング、ジャンプ、スピン、表現などが決まる
・理念に基づくそれらの要素がプログラムの中で実施された時に初めて、そのスケーターの伝えたいこと(=理念)を観客にまで伝えることができる
・なので理念は必ず模索すべきで、理念がないと何を伝えたいか分からないスケーターになってしまう
また、
・ジャンプは全体の一要素にすぎない
・スケーティングが全ての基礎と思いきや、全ての基礎は”理念”にある
・個人の理念の決定には種々の要因が絡み合い、全員異なる。そして、その違いこそが面白い
・”理念”が定まってこそ現状とのギャップを明確に把握でき、効果的な練習につながる
などもこの図から読み取れます。
そのOBの方も、
「プログラムはスケーティングやエレメンツを含めた、理念のプレゼンテーションである」とおっしゃっていました。
今回はこの「スケーター像のピラミッド」図だけでも記憶に留めていただきたいです。
必ず自分の成長につながります。
自分を振り返って
「とにかくジャンプを跳びたい」
「とにかくスピンを回りたい」
と考えている人はいませんか?僕の1年目です。
「とにかくスケーティング伸ばせば解決じゃん」
と考えている人はいませんか?僕の2〜3.5年目です。スケーティングの重要性に気付き始めた人によくあると思います。
僕は引退まで残り半年くらいになってやっと、理念(当時は「思い」という認識でした)を持つようになったと思います。ただそれも非常にぼんやりとしたもので、言葉として持っていた程ではありませんでした。
振り返ってみて、もっと早くに理念の大事さに気づけていれば、さらに思いの深い素敵なスケーターになれたんだろうなと若干の後悔を感じずにいられません。
僕たちが真央ちゃんや羽生選手、町田選手に深く心動かされるのは、彼女彼らの尋常でない深い理念が演技を通して伝わってくることに一つの要因があるのではないでしょうか。
ジュニアの演技よりもシニアの演技に感動することが多いのは、長いスケート経験の中でより理念が醸成された結果なのではないでしょうか。
ジャンプが上手くなりたい、スピンが上手くなりたい、スケーティングが上手くなりたいだけではなく、
自分の理念としてこういうスケートをしたいから、スケーティングはこういうところを目指す、ジャンプ・スピンは自分の中でこういう位置付けにする
と決めた方が、目的が明確になっているので上達も早く、また思いが強く人に魅せられるスケーターになれるのです。
そうはいっても・・・
そうはいっても理念を持つことは簡単ではありません。その理由は主に次の二点にあると思います。
①単純に見つけるのが難しい
②そもそも理念なるものを持つほどの思い入れがない
①単純に見つけるのが難しい
そもそも理念を見つけるのは難しいです。
僕も講義を聞いて「確かに」と思う一方で、「じゃあ自分の理念ってなんだっただろう」と思い返してすぐには答えが出せませんでした。他の参加者の多くも同様でした。
理念を見つけることに悩む方に向けて、OBさんからの素敵なメッセージがありましたので、ここに転記します。
僕はこの文章を読んで今更ながら超やる気が湧いてきています笑。
自分の理念を言葉として持つことは簡単なことではないですが、是非模索を続けてみて下さい。
②そもそも理念なるものを持つほどの思いがない
ここまでの話を聞いて、
「いや意識高っ!たかがスケートじゃん!!!」
って思う人も絶対いると思います。
実はこれ、ある意味で僕も非常によく分かります。
なぜなら今の自分の状況に置き換えた時、
勤めている会社の理念とか超どうでもいいから。
何が”より良い労働環境を創る”なんじゃいと。
知らんわ定時で帰らせろと。
ただ、理念を持つという必要性を感じなくても”スケートをすること自体は好き”という人はたくさんいると思います。じゃないとスケートしないですよね。(ただし、仕事はそうとも言えない)
人によって物事に対する熱量には濃淡があります。
理念を持つ必要性を感じない→スケートを辞める、仕事を辞める
と白黒ハッキリ分ける必要はなく、
シンプルにジャンプができるようになること、スケーティングが上手くなることを楽しむ
といったように、
自分の興味の熱量に応じた付き合い方をすれば、それでいいのだと思います。
無理に熱量が高い人たちに合わせる必要は全くありません。自分なりの楽しみ方ができればそれで十分です。
とはいっても、
わざわざこんな個人が一人趣味でつらつらスケートを語るマニアックなブログをお読みになられている時点で、今読んでいるあなたはスケートへの想いが強いものと想像します。
是非理念探しに邁進してください。