こんにちは。ヤングチャンピオン・カエルです。
今回はダブルサルコウ(以下2S)の練習方法、コツを紹介していきます。
この記事では、
「2Sができるようになるにはだいたいこういった流れで練習していけばいいのか」
「2Sを跳ぶ時はこういうところを意識した方がいいのか」
というような練習体系の一つを示したいと思っています。
ただ、ジャンプは、
「(トリプルアクセルは)フッとやって、キュッとやったら跳べるよ」(真央ちゃん)
というアドバイスもあるように、かなり感覚的な部分が多い要素です。なので人によって合うアドバイス、合わないアドバイスがあると思います。
今回の記事で色々コツを紹介していますが、それらも
一旦試しでやってみて、自分に合いそうだったら取り入れてみる
という感じで利用していただければと思います。
【参考記事】
【ジャンプ】いかにしてダブルジャンプを習得するか
【ジャンプ】どうやったら右軸を作れるのか【永遠の謎】
練習方法・コツ
今回は次の3つに分けて解説していきます。
①0→1の練習、1以降の練習概説
②オフアイスの練習
③ワンポイントアドバイス
ちなみに①,②は他のダブルジャンプでも全く同じです。
①0→1の練習
「ダブルの練習をしたいけど、何からすればいいのか分からない」
始めはみんな必ずこの状態になるので、まず「初めてダブルを練習する時」にオススメの練習方法を紹介します。
初めてのダブルジャンプの練習では、
シングルジャンプと全く同じ跳び方(そして気持ち)で跳んで、着氷時でも腕を開かずに締め続け、
着氷後でもいいので2回転目までする
ということを僕はしていました。
【目的】
この練習の目的は、
・軸をまっすぐにする(スクラッチ姿勢とまではいかなくても)
・1回転超の回転に慣れる
というところにあります。
2回転することが目的ではない点に注意です。
なので最大のポイントはシングルジャンプと同じで跳び方・気持ちで、という点になります。
はじめから「2回転!」という気持ちで回そうとすると、ほぼ100%腕を振り回して軸が傾いてしまうからです。それに加えて、フツーに「怖い」です。(回転に慣れにくい)
まずはシングルジャンプの延長として、軽い気持ちでやりましょう。
【軸を大事に】
1.1回転くらい空中で回って、残りの0.9回転は着氷後に惰性で回りたいのですが、この着氷後の回転がスムーズにいかない時は軸が傾いてしまっている可能性があります。
・真上に跳ぶ
・回さない
などを意識して一回転のうちに矯正しておきましょう。2回転で軸を直すのは非常に大変です。
【回り始めたら】
仮に、軸が真っ直ぐかつ空中で1.5回転くらい回れたら、ここにきて初めて
「ちょっと強く腕を締めてみる」
「高く跳ぶためにちょっと強く踏み切ってみる」
などして2回転を目指す、という練習に繋げることができます。
ただあくまで基本の目的は、軸をまっすぐにして1回転以上の回転をキープすることにあります。ここで2回転の下地を作っておきましょう。
【0→1以降の練習】
下地を作りつつ、より大事なことは色んな人に見てもらってアドバイスをもらうことです。
一つの情報源のみからの練習では、できない時に泥沼にはまることがよくあります。
上でも書いたように、前のアドバイスは自分に全く合わなかったが、これはすごいしっくりくるというのはよくあります。色んな情報にふり回されるのも良くないですが、異なる意見に触れて、取捨選択しつつ練習に取り入れることは大事です。
諦めなければ、いつか蓄積された情報が不思議な作用を起こして「なんか今日いける気がする」みたいな日が来ます。
その日が来るまで辛抱強く、その日が来たらチャンスを逃さず攻める。
技を習得する時というのはそういう感じだと思っています。
【まとめ】
長くなったのでまとめます。
2Sの初めての練習は、
・軸をまっすぐにすることを意識しつつ、
・シングルジャンプと同じ気持ちで、
・腕を開かず締め続ける
という感じです。ここで「軸の矯正」、「多回転への慣れ」という2Sの下地を作ります。
そして下地作りをしつつ、色んな人からアドバイスをもらって試してみましょう。
そして「あ、なんか今日いける気がする」という日が来るまで辛抱強く(メンタルと相談しつつ)練習する。
練習の形として以上のような流れを一つおすすめします。
②オフアイス
オフアイスでは、体幹トレーニングと腕を締める練習をおすすめします。
【体幹トレーニング】
ジャンプの回転中は、人生で1番体幹を使う瞬間であり、体幹を感じるべき瞬間です。
何のために体幹を鍛えていたのか。ジャンプのためです。
ジャンプ前の準備段階で体の力を緩めておき、回転に入った瞬間に一気に体を締めることで回転力が生まれます。このオン・オフ切り替え時の瞬発力が大事です。
回転中に体がふにゃふにゃしているとうまく回転が続きません。
回転中の遠心力に負けずに体をまっすぐキープできるよう体幹を鍛えましょう。体幹トレーニングについては以下記事で5分でできるトレーニング方法を紹介しています。
【腕を締める練習】
腕の締め方が分からない人は陸でも練習しておくといいです。締め方のポイントは以下の2つです。
①脇を締める
手だけ胸に寄せているだけで、脇が締まってない場合があります。これだと軸が太くなる、体幹を締めにくくなるというデメリットがあるので、しっかり脇まで締めましょう。
②腕平行に持っていかない、下からすくい上げる
2回転以上しようとすると、腕を真横に回して締めがちです。画像でいうと左の感じ。これだと横方向の力が強くなるので、軸が左方向にぶれやすくなってしまいます。
理想は画像の右のように、体の下を通して脇を締めながら上に締めていく感じです。これだと先程のような横方向の力が少なく、下から上への移動となるため、軸が安定しやすい&高さも出やすいです。
締め方のイメージが分からない人は陸で練習しておきましょう。
③ワンポイントアドバイス
ここからは僕が個人的に受けたアドバイスを列記します。
ジャンプ前の動作をモホーク前提で書いています。スリーターン等、他の入り方をしている方は適宜読み替えて下さい(丸投げ)。
モホーク後に一旦右足を止める
モホーク後に惰性で右足が左方向に回ってくる(体が回ってしまう状態)と、自分でコントロールしたタイミングで跳ぶことができません。コントロールできないと毎回跳ぶ直前の形が変わりやすく、安定しづらいです。
モホーク後はしっかり右手・右腰・右足を止めて、自分のタイミングで跳べるようにしましょう。
体が回っているかどうか分からない人は、モホーク後飛ばずにただ滑ってみて、体が回らないからどうか確認することをお勧めします。
サルコウに限らず、ジャンプ直前の姿勢を常に同じにすることはジャンプ習得・安定に重要です。
モホーク後に予め決めた1点を見る
目的は上と一緒です。
見る点を1点に決めておくと、体を止める意識が強くなります。
軌跡が大事
跳べないと回転部分ばかりに意識が向いてしまいますが、跳ぶ前の軌跡は非常に大事です。
僕はモホークで入るので、
①右フォアイン、左足バックインでしっかりカーブを描くこと
②毎回同じカーブを描く
ことを意識していました。
①について
サルコウはエッジを利用して跳ぶジャンプなので、軌跡は直線ではなくカーブを利用して跳んだ方が回転が入りやすいです。
②について
前述の通り、ジャンプ前の動作を常に一定にすることは大事です。
待つ
回りたい気持ちが強くなると、跳び出すべきタイミングより速く自分から跳び出しがちです。
僕はよくこれをやって失敗します。
あせらず待っていれば、カーブを利用して自然に跳べるポイントまで勝手に滑ってくれます。
待ちましょう。
(そんなことは分かってる)
バックインで滑る、トウノイズだめ
跳び出しを焦りすぎて、バックインのカーブで滑っている時に既にトゥがガリガリと引っかかっている場合があります。
カーブを利用して跳ぶジャンプなので、カーブの時にトゥが引っかかって減速することはマイナスです。
トゥをかけるのは跳ぶ直前の最後の1点だけです。
跳んだ後の軌跡を見てみましょう。最後の1点だけ穴になっているのではなく、軌跡に長い溝ができてる人は注意です。
モホークした瞬間から左膝を曲げておく
モホーク後に左膝を伸ばしているとバランスを取りづらいです。加えて、伸ばした膝を曲げるタイミングでもバランスが崩れやすいです。
モホーク直後から膝を曲げて柔らかく使いましょう。
階段を登るように
跳び方のイメージです。
右足で一段登ってその段に追いつくように右足を持っていく感じです。
サルコウは跳び方としてはアクセルに近い(らしい)ので、アクセルの記事も参考にしてみてください。
階段の話も載ってます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
習得は簡単ではないですが、諦めずに頑張りましょう!
「右軸のスクラッチ姿勢で跳べないとダブルは跳べないのか?」
結論から言うと、スクラッチ姿勢が入らなくても跳ぶことはできます。
僕もダブルトーループまではスクラッチ姿勢が全くはいらなかったし、周りを見ても始めからスクラッチ姿勢でできるようになった人はほとんどいませんでした。傾向としてはそういうところがあります。
ただスクラッチ姿勢が入らないと安定しにくく、見た目も美しくないです。僕は降りるようになってからスクラッチ姿勢に矯正しましたが、時間がかかりました。
「初めからスクラッチ姿勢を目指す」か、「できてから目指す」か、「目指さない」かの3択で、個人のお好みです。
余裕がある人はスクラッチ姿勢も平行して練習してみてもいいかと思います。スクラッチ姿勢については以下の記事を参考にして下さい。
参考記事:【ジャンプ】どうやったら右軸を作れるのか【永遠の謎】